今まであまり聞かれなかった「自転車保険」という言葉。急に増えてきたようですが、それはなぜ?入る必要があるの?入るならどんな保険?じっくり検証しました。
自転車保険はなぜ必要なのか
健康志向や節約などから、若者の車離れが進んでいる昨今。若者だけでなく、自動車免許を自主返納した方など元気なシニア世代でも自転車に乗る方が増えています。
そんな中、自転車保険を売り出す保険会社が増えてきました。自転車保険はなぜ必要なのでしょうか?
以下のポイントに注目してみました。
対歩行者の自転車事故が増加
この10年、国内の交通事故数は減少傾向にあります。しかし自動車事故に比べ、自転車事故の減少割合は小さくなっています。また、自転車事故の中で対歩行者事故の件数は、2000年から2010年の間に1.5倍に増え、現在まで横ばいです。つまり、歩行者との事故が増えているのです。
これは、自転車の利用者が増えたこと、自転車は車と違って免許もなく乗れるので交通ルールなどの啓蒙が出来ていないこと、歩行者・自転車双方でスマホ操作などの危険が増加したことなどが原因でしょう。
歩行者との事故の場合、お互いに生身なので、死亡や後遺障害が残るような重大な事故になるケースも少なくありません。加えて、スピードの出る自転車は加害者になってしまう可能性が高いので賠償責任等の備え重要でしょう。
高額な賠償命令が増えている
平成25年、62歳女性に11歳少年が自転車で衝突した事故について、少年の母親に9,250万円の賠償命令が出されました。この件は大々的に報じられましたから、記憶にある方も多いでしょう。それ以外にもここ10年ほどで、1千万円を越える高額賠償命令の下ったケースが増えています。
もちろん、賠償は被害者のために加害者が負わねばならない責任です。しかし高額な賠償のために自己破産してしまうこともあります。そうなっては、被害者・加害者ともに救われません。
自分のためと言うのはもちろん、誰かに迷惑を掛けないためにも備えが必要でしょう。
自転車には補償が無い
自転車は軽車両に分類され、時速数キロから場合によっては30キロほどまでスピードが出せます。それなのに、自転車は免許などなくても誰でも乗れますし、車やバイクのような自賠責保険の加入義務もありません。つまり、自転車は危険のある乗り物なのに、何の補償もないのです。
さらに、自転車にはシートベルトもエアバックもありませんし、ヘルメットやプロテクターなどを使う人も少数です。そんな自転車で事故が起きたら、どうなってしまうでしょうか。
相手が車で、しかも自分が被害者だったらある程度の補償が受けられるでしょう。しかし、相手も自転車や歩行者だったら、補償は期待できません。それ以上に、自分が加害者になってしまったら、相手が大ケガをしてしまったら・・・そう考えると、無防備に自転車に乗るのは不安に思われるものです。
自転車での安全な通行を心がけることはもちろんですし、ヘルメットやプロテクターなどで身を守るのも良いでしょう。しかし、それだけで事故やケガを絶対に無くすことは出来ません。また、被害者になるだけでなく加害者になってしまう可能性も大いにあります。以上の点を考えると、自転車保険でリスクに備えるのが懸命です。
どんな備えが必要?
一口に自転車保険といっても、各社から様々な商品が出ています。入院や通院、手術など補償の種類も様々ですし、保険金額も色々。とにかく手厚いものなら安心ではありますが、そうすると保険料は高くなってしまいます。
ポイントは賠償責任
自転車での事故を考えた場合、一番恐ろしいのは加害者となり、相手が死亡したり後遺障害を残したりするなど、多大な被害を与えてしまうケースです。
そうした場合に、十分に賠償責任を果たせる備えが重要です。
一昔前まで、損害賠償保険金額は1,000万~5,000万円程度が主流でしたが、現在は1億円ほどの商品が多いです。自転車保険では2億、3億という高額設定のものも増えています。過去の判例から考えると、1億円近い賠償もありえますから、最低限1億円の補償があると安心です。
医療保険をチェック
自転車保険は、賠償責任の他に、死亡や後遺障害補償、入院や手術などの傷害補償があります。
医療保険に加入している場合、自転車保険の補償と重複してしまうことがあります。既に医療保険で入院や手術、通院に備えがあるなら、これらの補償は考えなくても大丈夫。個人賠償責任保険だけのものなどを選べば、費用が抑えられます。
医療保険の内容を確認し、保険料とのバランスなどから見直し・保険のかけ変えを検討するのもアリです。
子供など医療保険に入っていない場合は、傷害保険も含まれたものを選ぶとより安心ですね。
家族で複数人が自転車を使っているなら、家族プランがおすすめです。